バレンタインデー・キッス
博雅に廊下の途中で追いついた晴明。
前を行く博雅の手を引いた。
「わっ!!」
博雅が驚いて声を上げた。
晴明はそのまま博雅を腕の中に閉じ込める。
背後からぎゅっと抱きしめた。
「博雅。チョコありがとな。」
博雅の耳元で晴明がささやいた。その口の端には博雅が残していったシガーチョコレートがくわえられている。
「…あ、ああ。どうだ?タバコなんかよりうまかっただろ?」
晴明の低音ボイスに耳元のあたりがぞくっとしながらも博雅が答えた。
「…まだ、食べてない。」
「なんだ、たったの一本だぞ。そんなに甘いものきらいだったか?」
「そうではない。お前と二人で食べたかったんだ。」
うしろで晴明が笑った。
「あんな小さなチョコ、どうやってわけようっていうんだ?」
おかしなやつだと博雅があきれたように言う。
「こうやってに決まってるだろ?」
そういうと晴明は博雅のあごに指をかけ自分の方へ向けさせると、包み紙をはずしてその小さな細いチョコを博雅にくわえさせた。
「…!?」
びっくりして目がまん丸の博雅。
そんな博雅にはおかまいなく晴明は反対側から食べはじめる。博雅がまっかになって動けずにいるうちに晴明の唇が博雅の唇に届いた。
そのまま、唇についたチョコをなめとり、晴明の舌はさらに博雅の唇の奥へとまさぐってゆく。
博雅が食べることすら忘れていた残りのチョコレートが、二人の舌の絡まりあう中でゆっくりと溶けていった。
晴明は、暗い廊下の壁に博雅を押し付けてさらに激しく唇を重ねてゆく。
息もできないような口づけに、博雅の体からだんだんと力が抜けていった。
そのまま廊下の壁を背にずるずると座り込んでしまう博雅。晴明が追いかけるようにその博雅の身におおいかぶさってゆく。
「お前の唇はチョコレートよりも甘い…」
口づけの合間に晴明が言った。
「ばか…。そんなわけないだろ…」
博雅が照れた笑みを浮かべてぶっきらぼうに答える。
ふたり、どちらからともなく再び唇を合わせてゆく。
やがて、口づけに酔う博雅の手が自分に覆いかぶさる晴明の背へと、ゆっくり回されていった…。
チョコレートよりも、博雅の唇よりも本当に甘いのは…二人の関係。
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ひゃあ!甘め〜!!チョコも真っ青ですな(汗)