忙中閨あり
「忙しい時ほど燃えるって知っているか?博雅?」
「し、知るわけないだろっ!ばかっ!!」
師も走るという年末の忙しいこの季節。最後の期末考査の問題をせっせと考える源元先生の邪魔をするのは、稀代の美貌のカリスマ経営者である。
書斎の書き物机に向かって仕事中の教師の背中にぴったりと張り付き、楽しそうに邪魔をしているその姿はとてもカリスマには見えなかったが。
そのカリスマ、つまりは晴明の手が博雅の胸のあたりをさわさわと撫でる。
女性とは違ってピッタンコのくせにその胸を触るのは楽しい。薄目のセーターを通してその胸の先がツンと尖るのがわかると晴明はもっと楽しくなった。
「あっ…こ、こらっ…」
ピクンと博雅が身を震わせる。
「や、やめろって」
ペンを握ったまま博雅は後ろの晴明をキッ、と睨んだ。
「なんで?」
「仕事中だからに決まってるだろうが」
「ふうん」
ちょっと頬をポッと赤らめた博雅に睨まれたって怖くもなんともない。晴明の手は博雅の言葉などさらりと聞き流して先へと進む。
セーターをめくるとその下のシャツのすそをズボンから引っ張り出す。
「こ、これっ!何をするっ!」
あせって振り向く博雅の体を抱きとめて、そのあごを捕まえると、綺麗な唇に弧を描いてこう言った。
「忙しいときほど燃えるって知ってるか、博雅?」
「し、知るわけないだろっ、ばかっ!」
「なら教えてやろう」
可愛げのない返事にさらににっこりと笑うと
「んむっ…!」
ぷっと膨れたその唇に自分の唇を重ねた。
「ん…はっ…っ…」
晴明の手が体を這う感覚に博雅の唇から思わず声が漏れる。
セーターの下をもぐった片手がツンとふくれた博雅の胸のつぼみを摘んで転がす。
「ここがイイ?」
「うっ…」
耳元で囁く晴明の声に頬を赤らめた博雅が目をぎゅっとつぶる。
「やっぱり…こっち?」
博雅のズボンに潜った晴明のもう片方の手が動いた。
「あっ…んっ…」
博雅のかみ締めた唇が思わず開いて声が上がった。
くちゅり…。
濡れた舌が絡まる。
くちゅり…。
濡れた博雅の熱茎に晴明の手が絡まる。
博雅の手からコトリとペンが落ちた。
「先生、今日のテストって、もしかしてクリスマスプレゼント?」
「…何でだ?」
ちょっとわかっているけど博雅は聞く。
「だって、あれはプレゼント以外のナニモノでもないでしょ〜?」
なあ?とその生徒は周りの生徒に同意を求める、非常に面白くないことに他の生徒もそりゃあ嬉しそうに、うんうんと賛同する。
「めっちゃ簡単だったし、問題数は激少ないし。」
「いや〜、マジうれしかったよ、先生!」
「ありがとうございました〜♪、ゴチ!」
いつもは赤点確実な連中が博雅に向かって手を合わせた。
「あ〜…そう。そりゃよかったな」
もうどうにでもしてくれと、源元先生は痛い腰をさすったのだった。