「白衣の君」




「実光。おまえには手伝ってもらうことがあるぞ」
そう言った。
「そいつは何だ?」
実光は陰陽師が手にしたものを指差して訊いた。
「銀翹解毒丸だ。」
「ぎ、ぎんぎょう?何だそりゃ」
白い小さな陶器の入れ物から黒い小さな丸薬を手のひらにころころと転がして出すと陰陽師は実光のほうを小ばかにしたようにちらりと見て
「ただの風邪薬さ」
そんなことすら知らないのか、とフンと鼻で笑った。
「俺は医者ではないからな。ただの風邪薬にそんな大げさな名前がついてるなんて知るわけもないだろ」
むっとして実光は答えた。
「これを恋人、いや嫁だったか?それにしたいという割にはこれの仕事のことを何もわかっちゃいないんだな。」
陰陽師は自分の体を指して言った。
「そのこととこんな長ったらしい風邪薬の名前なんて関係ない」
ますます、実光はむっとした顔になった。
「そうかな。」
その不機嫌な顔を見て、陰陽師は唇の端をわずかに上げて嗤うとこう続けた。。
「ま、いい、今はそんなことよりこっちだ。」
「そんなこと、だと??お、おま…」
「ところでおぬし、剣は少しぐらいは使えるのだろうな」
何か言い返そうとする実光を制して陰陽師は実光の腰のものをあごでしゃくった。
「あ、当たり前だ!」
言い返す言葉も忘れて実光は声を上げた。
「ならば結構」
さて、かかろうか、と、カッカする実光など軽く受け流して陰陽師は立ち上がった。その手には二本の針と風邪薬『銀翹解毒丸』。


「これを退治ればその呪いは本来ならばこの店の主にゆくはすだった」

網の中でじたばたと暴れる瓜を冷たい目で見下ろして陰陽師は言った。
「だが、おまえが余計なことをしたばっかりにその呪いは博雅にも飛び火することになってしまった」
陰陽師はじろりと実光を睨む。
「この家の主だけなら何の問題もなかったものを」
「…すまん」
まさしくその通りなので、実光はばつの悪そうな顔をして軽く頭を下げた。その実光を見もせずに陰陽師は言った。
「今、これを殺せば、この家の主は死に、博雅はあの勾玉の代わりに妖しに魂を攫われてしまうだろう。…残るのは主の屍骸と博雅の抜け殻だけだ」
「そ、それはいかん!」
ここのあるじはともかくも、博雅に何かあっては一大事。陰陽師の言葉に実光が顔色を変える。
「いかんに決まってるさ」
だから、と陰陽師は続けた。

「中にいるやつを斬らずに外側の瓜の皮だけを斬れ」
「か、皮だけか?」
「もちろんだ。中のやつを傷つけてはだめだ」
「そいつは…」
「難しすぎて俺の腕では無理か?」
「む、無理なものか!」
見下すような言われ方に実光が肩を怒らせる。
「ならば、やれ。それができなければあるじも博雅も終わりだ」
「わ、わかった」
この店のあるじなどどうでもいい。博雅のためとあらば。

「では…参る」

ぐっと腰を落として刀に手を掛け居合いの姿勢をとると、実光は瓜にかぶせた網を押さえた番頭たちに言った。

「放て!」

「は、はいっ!!」

番頭たちが実光の号令に合わせて瓜にかぶせた網をサッと取る。


「ヤアッッツ!」

鋭い掛け声とともに実光の腕がぎゅるんと弧を描く。
瓜の皮が縦に真っ二つに斬られて飛ぶ。

シャアアアア!

中から真っ黒な大蛇がうねって飛び、ぼとりと地面に落ちた、すぐに鎌首を上げると周りをその真黒な光のない目で見まわした。その目が博雅の姿を捉えて止まった。
「おまえじゃ!おまえ!あれの代わりにおまえをいただこうぞ!」
嬉々として大蛇は叫ぶと、博雅に向かってザザザザッと滑るように地を這った。。

「わああっ!」
「ひやああ!」

番頭たち店の者たちが、悲鳴を上げて博雅の周りから飛びのく。

「博雅っ!」

中身が誰かもつい忘れて、博雅を助けようと実光が刀をかざして叫んだ。
「動くな、実光!」
陰陽師はその実光を止めると
「私に任せろ」
静かな声でそう言って後ろにまわしていた手をすうっと上げた。その手が振り下ろされるや、二筋の光が蛇に向って煌めいた。

うぎゃあああああ!

蛇が雷にでも打たれたかのようにビリッ!と引きつり、大きな悲鳴を上げた。そしてそのまま地面にドスンともんどり打った。びたんびたんと体をくねらせ、尻尾を打ち振ってのたうつ。
見ればその両の目に長い針がそれぞれ一本ずつ深々と刺さっている。

「目、目がっ…があああっ!」

つぶれた目からどくどくと血を流しながら蛇がおめく。
「博雅を巻き込むからだ、ばかめ」
陰陽師はそう言うと小さく呪を唱え、牙をむく真っ赤な口の中に先ほどの銀翹解毒丸を三粒ばかり放り込んだ。その黒い丸薬が赤い口の奥に消えた途端、蛇の体からしゅうしゅうと白煙が上がりだした。
「お、おげえええっ!な、何だっ!?な、何を…飲ませたっ!?」
口からも大量の泡と煙を出しながら、目の潰れた蛇が叫んだ。
「ただの風邪薬さ。まあ、ほんのちょっとばかり蛞蝓が入っているがな」

「な、なめ…!」

つぶれたはずの目をカッと見開いてそう叫ぶと、蛇の体のうろこが総立ちになり尻尾の先からばらばらと剥がれ落ち始めた。蛇が何より嫌うという蛞蝓、それをを飲まされたと聞いて総毛だったのか。

「ぐえええ…」

悲鳴が白煙の中に消えてゆく。

「こ、これはいったい…?」
もうもうとした白煙が消えて恐る恐る近寄ってきた番頭、そこに残ったものを見て言った。
「見たとおりのものですよ。蛇と勾玉」
ま、蛇というよりこの程度なら長虫ってところでしょうね、とそう言って陰陽師は地面にのたうつ小さな蛇をつまんで見せた。
「妖しの本体はむしろこちらでしょう」
手のひらから慌てて滑り降りて逃げる蛇に軽くしっしと手を振ると、もうひとつの残ったもの、黒い勾玉を陰陽師は指差した。
「ひえっ!」
妖しの本体と聞いて番頭が引く
「まだそいつは祟るのか?」
いつの間にかそばにきた実光が聞いた。博雅にまだ祟る気ならば今度こそぶった斬る。
「蛇と離れたからな、新しい依りしろを見つけるまでは無理だろう。その妖力も今、そのほとんどを奪ってやったしな」
「ならばもう博雅に何かすることはないのか。」
「たぶん大丈夫だろう。」
「それならば重畳。」
よし、と実光はようやく刀を納めた。
「で、それはどうするんだ?ん?待てよ、なんでそいつは黒いんだ?さっきあるじが見せてくれたのは透明じゃなかったか?」
実光は残された勾玉を見て首を傾げた。確かにそれは、この家のあるじの持っている透き通った勾玉とは打って変わって光も通さぬ真っ黒な色をしていた。
「何故だ?」
「祟りをなすことはできなくなったが、まだ何も終わってはいない、ということさ」
と、実光と陰陽師が話している所に座敷のほうから、おおい、と大きな声が聞こえた。ふたりが振り向くと、この店の主が布団に起き上がって、こちらに向かってなにやら喚いている。
「なるほど、終わってはいないな」
実光はさっきとは随分違うあるじの様子に眉を顰めた。
瓜と蛇の力を借りて悪さをしていた勾玉の妖力が消えたおかげか、主は元気を取り戻しているように見えた。
「すべての因が、まだあそこにあるようだ」
実光は博雅の姿を借りた陰陽師に向かって肩をすくめた。

「先生、ありがとうございます。ほれ、このとおり、体が元通りすっかり元気になりました」
いやあ、たいしたものですなあ、と、さっきまでの熱で浮かされた赤い顔ではなく、今度は脂ぎって赤くなった顔で、あるじはガハガハと笑った。
「それは何よりでした。」
博雅に成り代わった陰陽師はそういうと、人の良さそうな笑みを見せて、すぐに続けさまにあるじに向かってこう言った。
「さて、では、そちらの勾玉を出していただきましょうか」
「は?なんですと?妖しは先生がたった今、退治してくださったではありませぬか。ならばもう祟られることもないはず。このまま、私がこれを持っていてもなんの差し支えもござりませんでしょう?」
あるじはあくまでも幸を呼ぶ勾玉を手放したくないらしい。血色のよくなった頬を不服そうに膨らませると、勾玉の隠してある枕箱を懐に抱え込んだ。
「祟りが収まった、などとは私は一言も言っておりませぬよ。ほら、ごらんなさい。」
そういうと、陰陽師は瓜の中から出てきた黒い勾玉を見せた。
「これは…」
光をも吸い込む真っ黒な石を目の前に突き付けられて、あるじは、思わず、うっ、と顔を背けた。
「な、なんです、それは?」
「これは、あなたが大事に抱え込んでいるそれと対をなす、もうひとつの勾玉ですよ。元々は、高貴な身分の者の副葬品。」
「ふ、副葬品?」
「要するに死んだ人間のものです。それを、あなたはくすねた。」
「くすねたなどと…」
心外だ、と言わんばかりにあるじは嫌な顔をする。
「そのとおりではありませぬか。本来、これはあなたのものではない。それとも、墓のあるじは、あなたにこれを譲ってやろうと言いましたか?」
「いや、それはもちろん、そんなことは…」
「でしょう?あなたは、偶然潜り込んだ墓からこれをくすねたのです。墓場泥棒ですよ。許されることではありませぬ」
「わ、わしを泥棒扱いするとは!ぶ、無礼な!」
元気を取り戻したあるじ、枕箱を抱えたまま、仁王立ちに立ち上がって、割れがねのような大声で陰陽師を威嚇した。が、博雅の姿を借りたこの陰陽師、あるじの怒声などまるで聞こえなかったかのように涼しい顔で、こう言った。。
「あなたがどのような金持ちであろうと、泥棒は泥棒。それに、これはあそこから持ち出してはいけなかったものなのですよ」
「ど、どういうことでございます?」
真っ赤になって言葉に詰まるあるじに代わって、番頭が恐る恐る聞いた。こちらのほうが幾分頭が働いているらしい。
「昨晩ここに来て暴れたのはこれでございましょう。」
勾玉が陰陽師の手のひらで黒く光る。
「これはここにきたとき、もうひとつの勾玉におまえにはすることがある、と言っていたと聞きました。それに間違いはございませぬね?」
「え、ええ、確かに」
番頭がコクコクと激しくうなづく。
それを見て陰陽師は、はあ、と大きくため息をついた。
「そのときに返しておけばよろしかったものを」
「え!そ、それはどういう…?」
「ことだ?」
言葉に詰まった番頭に代わりその言葉の後を実光が続けた。
「あなたたちがこれを返さないから、この勾玉は呪のかかった瓜に入ってもう一度取り返しに来た。けれどそれもなかなかうまくいかない。次に私を代わりの依り代にしようとした。が、それも叶わない。おまけにほとんどの力を奪われてしまった。…もう誰にも止められませぬな」
「止められぬだって?なにをだ?」
雲行きの怪しくなってきた話に思わずあるじが身を乗り出す。
「これは墓守の勾玉です。もちろん死者を飾るという副葬品の役目ももちろんございまようが、これはそれだけのものではありませぬ。」
陰陽師はそこで言葉を区切ってみなを見渡した。ゴクリと番頭がつばを飲み込む音が聞こえた。

「次は死者が来ます」

「え?」
「まさか!」
「ばかな」
実光をはじめとして三人の男たちが一斉に驚く。
「これは死者が起き上がらないようにするための呪具のひとつですね。もちろんこれだけではないですが。手につけた飾りは腕を。足につけた飾りは足を。胴に巻いた飾り帯は胴を。…そして顔につけた飾りは顔を。」
「嘘ではございません」
皆を見渡して陰陽師は静かに言った。
「と、いうことは…」
「今宵あたりその「顔」がやってくるでしょうねえ」
そう言うと陰陽師はにこりと微笑った。

「ひ、ひいっ!!」

誰よりも真っ先に悲鳴を上げたのはあるじだった。それはそうだろう、あるじはこの中で唯一、その死人を実際見たことがあるのだから。脳裏に蘇るあの嵐の夜の光景。
「わ、わわ、わかった!返す!返す!」
枕箱に大事にしまっていたもうひとつの勾玉を陰陽師の方に放ってよこした。
「か、返すから、あれが来ないようにしてくれっ!た、頼むっ!!」


「おい、さっきの話は本当か?」
そう言って実光が聞いたのは越後屋からの帰り道のこと。将太に薬箱を先に診療所へ持って行かせたのでふたりである。
越後屋は死者の頭があの呪のかかった瓜のように庭を跳ね回ると思ったらしい。それまで手放そうとしなかった勾玉を返してよこして、なんとか死人の頭が来ないようにしてれと泣きついたのであった。
「さっきの話?」
「ほら、死者の頭がやってくるって話さ。」
「ああ、あれか」
「あれか、じゃないだろ。今さっきの話だぞ。その頭とやらはそれを取り返しにくるんだろ?いいのか、そんなもの持ってかえってきちまって?」
まだ博雅の入れ替わったままの陰陽師が、手のひらのうえで転がしている二つの勾玉をゆびさして実光が言った。
「これらは死んだ人間を悪いものから護るためにある。護られるものがわざわざ危険を冒してそんなものを取り返しにくると思うか?」
「じゃ、じゃあ、さっきの頭だとか足だとかをそれぞれ封じてあるみたいなあの話は…」
「嘘に決まっているさ。」
フフンと陰陽師が鼻で笑った。
「う、嘘だって?だ、だって、さっき、おまえは自分は嘘など言わないって言ってなかったか?」
「あんな連中を相手に、何故、この俺が真面目に本当のことを言わねばならんのだ?」
おまえも馬鹿だな、と言わんばかりの陰陽師の目に実光はむっとした。
「そりゃあ、そうだが…」
「これはとても珍しい玉石だ、こんなものを飾られるのは身分の高いものに限っている。」
その勾玉をじっと見つめて陰陽師は言った。
「確かにビンボー人には手に入れられそうもないがな」
実光もそれを見て言う。
「ならば、その死人はまず祟らない。きっととっくに成仏してこの世にはいないさ。」
「なんで祟らないと言い切れる?身分があるものだって祟るやつはいるだろう」」
「祟るのはこの世に未練とか恨みとかがある者だ。大概そういう者は、生きているうちにその因になる何かを起こしているにきまっている。ならば、それが死ねば関係するものたちは死んだ後、それが蘇ってこないように手を打つ。頭を切り落として別に封じるとか、燃やしてしまって灰にしてしまうとか」
「ということは、そのままの姿で葬られているのは、そんな恐れのないものというわけか」
「そのとおり。だから、これはただの服飾品さ。」
「だ、だが、そいつは人の姿に化けてやってきたぞ?」
祟りをなさないものが何故?
「人が成仏してしまえばその体は朽ち果てただの骸となる。だが、このように人の思いのこもったモノはまた別だ。」
陰陽師は立ち止まると、手のひらの勾玉を再び、見つめた。

「これをその死者に飾ったものが誰かは知らぬが、きっと、思いの丈を込めてこれを飾ったのだろう…死してなお、このひとを護って欲しい、と…」

ぎゅっ、と手のひらを結んでそう言った。
「その強い思いがこれに乗り移って、妖しとなったのさ…、そうまでして想う相手は、もうすでにこの世にはいないのにな」
そういうと、陰陽師は手のひらに握り締めていた二つの勾玉を傍らに流れるドブ川に、ポイ、と投げ捨てた。
「お、おいおい!何をする!」
慌てて実光はドブ川の水面を覗き込んだ。が、茶色く濁った川の面からは、あっという間に沈んでしまった小さな勾玉の耳飾りなど見つかるわけもない。
「あ〜あ、なんてことを。こんなところに捨てて、また舞い戻ってきたらどうするんだよ」
実光は陰陽師を振り返ってそう言った。が、陰陽師は平気な顔をして答えた。
「ここには舞い戻りなどしないさ。あれらに乗り移っている想いはとてもとても強いものだ。二つそろったならば、たとえ深い海の底にいたとしても、元いた場所へもどってゆくだろう。それとも、おまえがあれらを元いた墓場の中まで運んでやるか?」
「い、いやいや、それには及ばぬ。勝手に帰ってくれるならそれに越したことはない。」
実光はぶんぶんと首を振って言った。
「それに、たとえ元の場所に戻れなくとも、二つ揃っていれば、それだけでも幸せだろうさ。」
濁っていても日の光だけはきらきらと跳ね返す水面を見つめて、陰陽師は小さく言った。
「おまえ…」
実光は、そんな陰陽師の姿を見つめて声を失った。

こいつの博雅に対する想いのなんと深く哀しいことよ…。

 

…そう思ったのだったが。

 

「おぬし、いったいいつになったら引っ込むんだ?」
診療所の一室で、実光は苦虫を噛み潰した顔で聞いた。
「え?何のことだ?」
白衣の博雅がきょとんとした顔で聞く。
「博雅、おぬしじゃない。」
実光が手を振る、と、博雅の頭がカクンと一回落ちた。そして、再び顔を上げるとその表情が一変していた。
例の陰陽師の表情である。
「なんだ、俺に用か?実光」
「やっぱりいたな。おぬし、博雅の後ろに戻らぬのか?」
「戻っているではないか。」
「違〜う!前みたいに、いるのかいないのかわからぬような存在には戻らないのか、と聞いておる!」
「ああ、そういう意味ならば戻る気はないな。おまえのおかげでこうやっていつでも博雅に入れることができるようになったのでな。これを生かさぬ手はなかろう?」
「な、なんだって!お、おぬしはあの勾玉のように影から想い続ければいいではないか!」
「そういうわけにもいかなくなってきたのでな。おまえのように不埒な輩が、博雅の周りをうろついていると思うと心配だ」
「ひ、ひとを変質者かなにかのように言いやがって…。どうせ実体のないおぬしには何もできないのだ。おぬしは指をくわえて引っ込んでおれ!」
「何もできない?」
陰陽師はにやりと笑った。実光に嫌な予感が走る。
「な、なんだ、その言い方は…?」
「俺が誰だか知っているかな?」
「だ、誰って…、お、陰陽師とかいうやつだろ?」
それがどうした、と口をへの字に曲げる実光。


「ただの陰陽師ではない。私の名は安倍晴明、天下無双の陰陽師だ。」

 そういうと博雅の姿を借りた陰陽師は自分の白衣の前を少し肌蹴た。
「あっ!!」
実光は今度は本当に声を失ってしまった。

 

なぜなら、そこ、博雅の滑らかな胸には鮮やかに紅い花びらのような口づけの痕が点々と…。

 




  終。

 

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