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  源博雅その寝込みを襲われること

ちゃぷ…。
バスルームに静かに水音が響いた。
博雅がバスタブの中でうつらうつらと船をこいでいる。
とっても忙しかった今日の一日。
土曜日だというのに、朝の早くから生徒を引きつれて県外の学校へと対外試合の遠征に出かけていた。
その週はその対外試合にむけての練習とその用意、それから来週から始まる期末試験の準備、両方に追われて毎日、夜遅くまで学校に留まって仕事をしていた博雅。
晴明も東京で行われる新ビルのオープンレセプションに出席するため、何日か前から留守にしていた。
疲れも限界を超えるとかえって眠れなくなるものだ。昨日の晩は、晴明のいない寂しさも手伝ってつい、朝方まで笛を吹いていてしまった。そしてろくすっぽ眠りもせずに今日は丸一日、遠征。
そんなめちゃくちゃに忙しい一週間をすごした博雅。
遠征から帰っていろいろな雑用を済ませて帰宅し、適当に食事を取り、軽く冷酒を一杯引っ掛けてお風呂に入ったら今までの疲れがどっと出て、バスタブの中でうたた寝を始めてしまった。
くう…。
バスタブの端に頭を預けてすっかり寝入ってしまった。
 
博雅がバスタブでくうくう寝始めてしばらくしたころ晴明が帰ってきた。
「ただいま…ん?」
リビングには確かに煌々と明かりがついて食事の後もあるのに、肝心の博雅の姿が見えない。
「どこいったんだ?あいつ。」
空になったグラスを手に頭をかしげる晴明。
バッグと上着をソファに投げると、博雅を探しに邸の中をあちこち探して回った。
書斎にもいない、寝室にもいない、離れにもジムにも、どこにもいない。
「いったい、どこだ?」
意識を飛ばして探すという方法もないではないが、そこまでしなくても必ず家の中にいるという確信はあった。
博雅の存在を感じるのだ。まちがいない。
しかも、ずいぶんとリラックスした気を。
「はは~ん。…あそこか。」
 
かちり…。
浴室の扉が静かに開いた。
(やっぱり…)
そっとのぞいて見れば、博雅がほんのりと上気しながら少し大きめのバスタブのなかでくうくうと寝ている。
濡れてストレートになった髪が額にかかって片目の上にかぶさっている。
額と鼻の頭には小さく汗の粒が浮かんでいた。
完全に熟睡している。
(こんなところでこんな無防備な姿で熟睡するか。ふつう?)
お湯を透かして博雅の全身が無防備に晴明の目にさらされていた。
いい眺めだと思いながらも苦笑する晴明。
(今に、おぼれちまうぞ)
シャツのカフスに手をかけた。
 
ひょいと背中を押されて、博雅は驚いて目を覚ました。
「んんっ!な、なんだなんだ?」
一瞬自分がどこにいるのか、熟睡していたためにわからなくなっていた。
ま後ろに人の気配を感じた。
「だ、誰だ?」
あわてて振りむくと、そこには晴明の顔。
「誰ってことはなかろう?俺以外に誰がいるっていうんだ、博雅。」
にやっと晴明が笑みを浮かべた。
「せ、晴明!帰ったのか?」
「さっきな。」
ちゃぷりと水音を立てて、晴明の腕が博雅の体に巻きついた。
ようやく自分がバスタブの中で寝ていたことを思い出した博雅。
今の状況が理解できてばっと赤面した。
ふたり重なり合う二本のスプーンのようにぴったりとくっついている。
背後には晴明のものが…。
「な、なんだ、この状況は!」
「何だとは失礼なやつだな。俺もさっき帰ったばかりで汗を流したかったのに、お前がここをどく気配がないから、しょうがなく一緒に入っているだけさ。」
そればっかりのわけではないけどな。
心の中でそう付け加える。
恥ずかしがりの博雅と一緒に風呂などそうそうあることではない。めったにない機会だ。
「で、では俺はもう上がる!」
あわてて立ち上がろうとする博雅を、ぎゅっと背後から抱きしめて捕まえる晴明。
「逃がすと思うか?…博雅?」
「うっ…!」
耳元で静かに告げられて言葉に詰まる。
晴明の両手が博雅の脇から伸びて博雅の張りのある腿の内側をなで上げる。
「あっ!…こら、なにを…!」
閉じようとする博雅の腿を晴明の手が逆に押し広げる。耳たぶに舌を這わせながら晴明が低い声で博雅に命ずる。
「足、広げてろよ。博雅。閉じるんじゃないぞ。」
「えっ…。でも…。」
顔を真っ赤にして言い返そうとする博雅。
「いいから。いうとおりにしてろよ。」
博雅の足を広げさせたままにしておくと、博雅のそれを両手でつつみこんで握り締める。
今まで片手で触れられたことは何度もあったが、両手で全体を包み込まれるように握られたことなど初めてだった。
まるで二人で自慰をしているような、不思議なそれでいてエロチックな感覚。
博雅の体にふるえが走る。
晴明の手が博雅のものを上下するたびに、お湯の表面にさざなみがたつ。
「…んんっ…!」
唇をかみ締め、まぶたをぎゅっと閉じて、体中を駆け回る快感に必死で耐える博雅。
晴明の手の動きしか意識できない。
「声を出せ。…我慢するな。」
晴明が首筋に軽く歯を立てながら博雅にささやく。こんなときの晴明はまるで悪魔のようだ。
「…いや…だっ!…くっ!」
晴明の手に触れられているというだけで、もうほかの感覚がなくなってしまいそうだ。
が、声を出すのはいやだ。まるで女みたいじゃないか。
「頑固だな…。」
きれいな色の博雅のそれは晴明の愛撫によって熱く、さらにどんどんとその硬さを増していった。
晴明の愛撫は止まない。
博雅の顔が苦しいかのようにゆがめられてゆく。
バスタブのふちを掴むその指先は、力をこめられているせいで真っ白になっていた。
晴明の細く長い指が、博雅のそれを包み込むように下からなで上げた。
「…ああっ!」
ついにガマンできずに博雅の唇から色づく声が上がった。
のどをのけぞらせ、その背を晴明の胸の預けて体をこわばらせる博雅。
そろそろ限界が近かった。
「イキたいか…?」
のけぞる博雅の耳元に低く晴明が聞く。
まぶたをぎゅっとつむった博雅は必死でコクコクとうなずく。
「…了解。」
晴明は博雅のものをにぎる手に力を加えると、さらに強く激しく愛撫を繰り返した。
どんどんと上り詰めてゆく博雅。
ついにその頂点を越えた。
「くうっ!!」
晴明の手の中で博雅が弾けた。
つま先がつっぱり、体が硬直した。
やがて、ゆったりと弛緩してゆく博雅。
ぐったりと晴明の胸に体をもたせ掛ける。
その瞳はいまだ硬く閉じられたままだが、その目元はお湯のせいばかりではない自身の内側からの熱気でほんのりと桃色に染まり、かみ締められていたせいで赤く色づいた唇は、うっすらと開いて柔らかな舌がちらりとのぞいている。
晴明は、博雅のやわらかくなったそれから手をはずすと、博雅を背後からしっかりと抱きしめてその頬にくちづけた。
「大丈夫か?」
「ああ…何とか…。」
ゆっくりとまぶたを開けると、博雅は手を晴明の頬に当てて弱弱しく微笑んだ。
「すまん、晴明。お湯を汚してしまった。また入れ直さなきゃ…。」
「なに、気にするな。それから…言っとくが、まだ終わってないからな。」
「えっ?」
「今イッたのはお前だけ。俺はこれから。」
にやりと人の悪い笑みを見せると晴明は博雅の背後から両ひざの下に手を入れ、博雅の両足を持ち上げるとそのまま自分の上へと引きおろした。
晴明の博雅より各段に大きく強そうな色のものが何の案内もなくとも、博雅の中へとお湯とともにずぶりと入ってゆく。
そのまま腰を押さえ、背後から博雅を貫きとめた。
「あっ!…うあっっ!」
博雅の悲鳴にも似たあえぎ声がバスルームに響き渡った。
「なんだ、博雅。いい声で啼けるではないか」
晴明のものが博雅のなかで内壁をこすって上下を繰り返す。
先ほどとは打って変わって大波のようにバスタブのお湯がゆれる。
両足を大きく広げられたその姿は無防備で、その苦しそうにも見える表情は扇情的ですらある。
まさに眼福だな。
背後から博雅ののけぞるあごに手をかけ、むりやり顔をこちらを向かせると、今日はじめてその唇にくちづけた。
「…んっ、んんっ!」
玉のような汗を浮かせて博雅が自分から舌を絡ませてくる。
「あ…はっ…。」
唇を離したときには博雅の目にいっぱいの涙がたまっていた。
あまりの快感にどうやら涙があふれてきたらしい。
博雅のものが再び硬さを取り戻しつつあった。
晴明は何の前触れもなく博雅から自身を抜き去った。
「あっ…!いやだ…抜くな…。」
急に自分をいっぱいに満たしていた晴明の存在を、身のうちから失くして泣き声をあげる博雅。
「いや…だ、…せいめい…。」
「心配するな、博雅。今すぐやるよ…。」
晴明は博雅の体を反転させると向かい合わせに博雅を抱き寄せた。
ちゃぷ…。
「冷えちゃうな。」
やんわりと微笑んで博雅の肩にお湯をすくってかけた。
向き合い晴明の腰にまたがった格好の博雅。さっきまで晴明によって満たされていたあそこが晴明を求めてひくついている。
満たされない欲求に博雅の体が悲鳴を上げている。
そんな博雅の心を知っているはずなのに、晴明は博雅の体にお湯をかけ微笑むばかりだ。
「せいめい…」
自分のもののと触れ合っている晴明のもの、その感触についにじれた博雅。晴明の名を呼んだ。
「なんだ?」
涼しい顔で晴明が問いかえす。
博雅が恥ずかしそうにまぶたを半分閉じた。
「晴明…」
もう一度、晴明の名を呼んだ。
「どうした?博雅?」
またも、そ知らぬ顔で答える晴明。
「わかっているくせに…」
下からにらむように博雅が言った。
すぐに、ちゃんとやるって言ったじゃないか…。
「ふふっ、なにが言いたいか、もちろんわかってるさ。ただ博雅、お前の口からじかに聞きたいだけさ。ほら、言えよ。」
博雅のぬれた髪を額から払うとその秀でた額に口付ける。
「ばかやろ…絶対言うもんか…。」
ぷいっと横を向く。その目にはぷくっと新たな涙が膨らんでいた。
「泣かしたか?」
晴明が博雅の顔を覗き込む。
「泣いてなんか、いないっ!」
晴明の胸に手を当てるとその体からはなれようとする。
「いじめて悪かった。博雅。」
腕を掴んでそれをとどめる晴明。
「ばかやろ…。」
きりっと口の端をかみ締めて博雅が小さく晴明をなじった。
にやっと笑って
「ほんとにばかだな。俺は。」
博雅の目をまっすぐに見つめた。
「すぐ博雅をからかいたくなってしまうのが、俺の悪いクセだな。すまん。…でも、誰より愛してるぞ。」
晴明の突然の告白にびっくりする博雅。
「ば、ばかっ!…と、突然こんなとこでいうな。びっくりするじゃないか。」
「でも、知ってたろ?」
「う…う…ん。」
「よかった…」
にっと笑って晴明は博雅の腰を自分の腰にぐいっといき寄せた。
博雅の腰を掴んで少し持ち上げると、待ちかねた博雅の菊のつぼみのようなそこへ自身を深く突き刺してゆく。
「ああ…。」
博雅の唇から満足のため息が漏れる。
バスルームに波のような水音と博雅のあえぐ声が響く。
晴明は博雅の両膝の裏に手を入れてその足を抱え込みながら、さらに奥へと博雅の中を探ってゆく。
晴明の首に腕をからませて息を荒げる博雅。
晴明のぬれた髪に指を絡ませ、自らその唇に深く口付けた。
「…ん。」
晴明が珍しく声を漏らした。
博雅の舌が晴明の舌を捉え絡まってくる。そのことで感じたのか博雅のそこがぎゅっと締まった。
「博雅。いい…。」
唇を離した晴明が言った。
「おれ…も…ああっ!」
博雅の双丘を乱暴に掴んだかと思うと、晴明はそこを大きく開き自身を強く打ちつけた。
最奥を硬い晴明のものが突き上げた。
「はあ…っっ!」
頭の芯が焼け付いたかと思うほどの快感が博雅の背筋を駆け登った。
容量を増した晴明のものに一番深いところを突き上げられて博雅がイった。
「あ…ああ…っ!」
二度目の精を放つ。
その瞬間に博雅の後孔が絡みつくかのように晴明のぎっちりと納められたそれを締め付けた。
後を追うように晴明のものが博雅の中で熱いものを解き放った。
「…博雅っ!」
晴明の唇からつむぎだされたのは最愛の人の名。
 
ぬるくなったお湯の中でぼうっとする博雅をその胸に抱き寄せて、晴明は大いに満ち足りた気分だった。
近頃、少しづつではあるが体を重ねることに積極的になってきた博雅。
今日は自分から俺の唇を求めてきた。今度はもっと違うところに口づけてくれると俺としてはうれしいんだがな。
そんな邪まなことを考えていた晴明。
妙に博雅が静かなことにようやっと気づいた。
気をやってしまったか?
と、そっと自分の肩の辺りに寄せられた、うつむき加減のその顔を覗き込めば…
「おいおい、寝てるってか…」
あきれたように苦笑いする晴明。
うっすらと唇の端に笑みを浮かべて、くうくうと熟睡している博雅。
その顔は晴明よりも、もっと満ち足りているように見えた。
「まったく…。」
晴明は唇に二本の指をたてて式を呼ぶ。
「急々如律令 式神玄武招来。」
力持ちの玄武でも呼ばなければ俺一人では面倒見切れないな…。
困ったヤツだと、ぶつぶつ言いながらも、なんだかうれしそうな陰陽師であった。
 
 
ちょいやば