嫉妬は熱く
なんて愛想のいいやつ…。
少し離れたところから晴明は苦々しい顔をしてその男をみつめていた。
にこやかに相手に微笑む博雅、何か小さな物を手渡されているようだ。どうやら名刺らしい。
別に無愛想にしなければいけないわけでもないのだが、晴明は面白くない。
「じゃあ先に車のところに行って待っているよ」
そういって博雅は地下の駐車場へと向かった。
学校の生徒とかと笑っているのはまあ、許せる。が、なにも俺の会社の連中に愛想よくする必要などないのではないかと思う。
先日、社内で漏れ聞いた言葉、それが晴明の心に妙に引っかかっていた。
「おい、今日は来てないってさ。」
廊下を曲がろうとした晴明はその声でふと立ち止まった。
何階か下がったところにある営業課のあるフロア、たまたま所用でその階にいたアキラ、次の言葉でその顔が険しくなった。
「社長の友達のあのひとか?」
「うん、そうそう。今日は社長来たから絶対一緒に来ると思ったんだけどなあ。」
残念そうにため息をつく一人にもう一人が少しあきれて言った。
「おまえ、ほんと好きだなあ。」
「悪いか。おれだけじゃないぞ。設計の大田とか経理の樫野とか結構いっぱいいるぞ。あと、女なんかはあの人来るたびに目の色変わってるからな。」
「まあ。いい男だとは思うけど、いったいどこがそんなにいいのか、悪いけど俺にはよくわかんねえな。」
「ば〜か。お前もいっぺん話してみな。めちゃ可愛いんだぜ。あれは女でなくても惚れる。うん」
「はあ。ますますよくわかんねえ」
誰の事を話しているのかすぐに察しがついた。
あれからよくよく気をつけてみていれば、博雅が来るとその場の雰囲気が変わるのがよくわかった。ピリピリしていたものがまるで霧のように消えてあっという間その場がほわっとやわらかくなるのだ。アキラとは対極にあるオーラの持ち主であるからそれも当然といえば当然ではあるのだがアキラがいることでそれが際立つようだった。
おまけに博雅はここに来るとアキラの冷血振りを補なおうとでもするかのようにことのほか愛想がいい。MAXといってもいい。天界から愛されるほどの心の持ち主がその魅力を最大限に発揮するのだ。女はもとより男の一人や二人ひっかかってもいたし方がないというものだ。
だからアキラ、いや晴明はおもしろくない。
今日も通り過ぎざまに何人かをその気にさせてきた博雅が先に行って待つ地下の駐車場。むすっとした顔で晴明はそこへ向かった。
うす暗い駐車場の社長や重役専用のほかとは少し隔てられた一角。晴明の黒のカマロのボンネットに腰掛けて博雅は待っていた。
「晴明。」
ゆっくりと立ち上がって博雅はにこやかに晴明を迎えた。
この笑顔が曲者だというのだ。
「ん?どうした、なんだか機嫌が悪そうだな」
何も気づいていない博雅が心配そうに聞く。
「なにか都合の悪いことでもあったのか?それならオレ、先にホテルに帰っててもいいけど。」
助手席のドアを開けながら博雅は言った。
「…いいから乗れ」
「う、うん」
機嫌のわるそうな晴明にわけのわからない博雅は戸惑ったようにうなずいた。
「いったい…」
シートに収まった博雅がもう一度聞こうとしたそのとき。
「…んん…っ!」
急に唇を奪われて博雅は飛び上がるほど驚いた。
運転席から身を乗り出した晴明に両腕を押さえつけられた博雅。目を見開いて驚く。
性急に晴明の舌が博の中に侵入してくる。荒っぽいともいえるほどに博雅の舌下をなぞり強引に絡めとる。
「…や、やめ…!」
むりやり唇をはずして博雅は戸惑って晴明の手を掴み返した。
「こんなところで何を…!誰かに見られでもしたらどうするんだ!」
「誰もきやしないさ。それに誰かに見られても俺はかまわない」
もし、誰かに見られても博雅は自分のものだということが皆に知れればなお、いいくらいだ。
「お、オレは構うっ!」
博雅は赤い顔をしてぎゅっと晴明を押しのけた。
「…っあっ!」
博雅がのけぞって声を上げた。晴明の手が博雅のズボンの上からそれを握り込んたからだった。
痛いくらいに握られて博雅は快感ではなく痛みに声を上げる。
「やめ…!」
ぎゅっと握り締められて息が止まりそうになる。
「ううっ!」
「お前はだれかれ構わず愛想がよすぎる…わかってるか?博雅…」
晴明は唇が触れ合いそうなほど近くに顔を寄せて博雅の目を見つめた。
「お前の笑顔も唇も…それからここも…みんな私のものだ。私の許可なく勝手に人に分け与えるな。」
「なにわけのわからぬことを…おまえの言っていることはむちゃくちゃだ」
と博雅は言い返した。その言葉に晴明の目がさらに冷たい炎を上げた。
「ほう…むちゃくちゃだって…?」
「そうだよっ!俺はそんなに誰彼かまわず愛嬌なんかふりまいてるつもりはない!」
額に汗を滲ませて博雅は強気で言い返す。
「では、これはなんなんだ?」
博雅のポケットに手をいれ中から何枚かの名刺を取り出した。
「それは、ここの社員の人がくれただけだ。ただの名刺だよ」
「ふうん…ならなぜ裏に個人の携帯番号とアドレスがわざわざ書いてあるんだ?」
博雅のものをしっかりとその手の中に収めたまま晴明はぴらりと名刺を裏返して見せた。そこには小さな字で個人の番号とメルアドが書かれてあった。
「え?そんなの書いてあったのか?」
博雅のほうがびっくりして聞き返した。
「いったいなんと言って渡されたんだ?」
眉間に不快げにしわを寄せて晴明は聞いた。
「なんとって…えっと…今度一緒に飲みに行きませんかっていう誘いと、それからお休みはいつですかって聞かれたのと、あとそう…誕生日を聞かれた」
言われた言葉を思い出しながら言う博雅に晴明は苦い表情を浮かべた。
「ばかやろ…明らかにそういう意味じゃないか…」
ホントに鈍いやつ。
誘ったであろう社員たちもその鈍さにはさぞ困っただろうとは思うが、それ以上に晴明は苦りきった。こんな調子なら気づいたときは誰かとベッドの中なんてことにもなりかねない。
「こういうことがあってもなんとも思わないということに問題があるんだ…」
晴明は博雅のズボンの前を寛げるとそのまま下着とともに脱がせてしまった。
「ちょ…なにするんだ!」
急に下半身をさらされて博雅は悲鳴を上げた。
そのすんなりと伸びた両足を強い力でひざ裏を持って押し上げると大きくM字に広げた。
「や、やめ…!」
抵抗する博雅の手をものともせずに晴明はその中心にある博雅の大切なものにその紅い舌を這わせた。
薄暗い地下の駐車場の一角の車の中で晴明の舌が博雅のものを嬲る音が聞こえる。それは時々思わぬほどに大きな艶めいた音を立て、博雅をびくりと震わせる。
ぴちゃっ…
今もまたその大きく響く音に博雅は身をよじった。
「なんだ…?恥ずかしいのか…」
たった今その紅い唇から開放した博雅のそれをぬめる舌先でずるりとなめあげながら晴明が聞いた。
内腿まで自身の漏らした先走りの露でぐっしょりと濡らしながら博雅は目を閉じて震えていた。
「…うう…」
「このままここで最後までするか…?」
その言葉にもっとぎゅっと目をつぶって博雅は黙ってぶんぶんと首を振った。
「いやか?でも、博雅のここはホテルに着くまで我慢できるのか?」
晴明の指がそっと会陰をなぞり秘められた小さな蕾に触れた。
「は…ぁ…っ…」
触れられて博雅の背がシートから浮いてのけぞる。晴明のためにのみ開かれる秘密の門。そこがひくひくと晴明を求めてひくついた。
「我慢できるか?」
ぬるりと指先をもぐりこませて晴明が意地悪く問う。
博雅は自分の顔を覆ってひたすらこくこくとうなずいた。今すぐにでも晴明に欲望に震える孔を埋めてほしいのだがここでは絶対いやだった。
「なら、ホテルに帰り着くまで代わりにこれを埋めておこう」
晴明はそいうといつも使っている銀色の細身のライターを取り出した。冷たい輝きのあるずしりと重いそれを博雅の後孔にゆっくりと埋め込んだ。
「い…いやっ…やめ…っ…!」
博雅は晴明以外の始めての経験に必死で抵抗したがすぐに晴明に押さえつけられて、おとなしくその銀色の塊を秘孔に飲み込んでいった
はじめひやりとした感触だったのにそれはすぐに人肌に暖かくなっていった。
「落とさずにしっかりと咥えていろよ、博雅」
意地悪な笑みを満面に浮かべて晴明は言った。
後孔に銀のライターを入れられたまま博雅は晴明に下着とズボンを穿かされた。
「こんなに濡らしてしまって…」
ズボンの中に手を入れ、硬く張り詰めたまま露を漏らし続けている博雅のその先端を指先でなぞる
「ホテルに着くまでちゃんともたせられるかな…?そうだ途中でイッてしまわないように封じておいてやる」
そういうと自分の髪を1本引き抜く。そしてそれを張りつめた博雅自身に結わえ付けた。
「ほら、これでいい。今のままの状態で封じたぞ」
痛いほどにたちあがったままのそれをズボンの中に納めると、悪魔のような意地悪な笑みを浮かべて博雅の頬にその美しい顔を摺り寄せてささやき、熱くなった博雅の耳たぶをかぷりと甘噛みした。
「…あっ…」
博雅はせつなげに熱い息を吐いた。
「せいめ…おまえ…」
涙目になった博雅がにらむ。
「俺以外に笑顔を振りまくお前が悪い」
「それは…八つ当たりというものだ…あ…っ!」
「八つ当たりで悪かったな」
晴明の指先が博雅のズボンの上からその高まりをぐっと掴んだ。
「あう…っ…っ…」
博雅はその背をのけぞらせて切れ切れな声をあげた。
「そういう反抗的な態度ってよくないぞ、…博雅」
額に汗を浮かせて達せられない快感に震える博雅を見つめた晴明。
「戻るぞ。」
ぱっと体を離した晴明。冷たく笑って言った。
「えっ?」
車から降りるとボンネットを周り、助手席のドアを開けて、ぐいっとその腕を引くと驚いている博雅を低い車体から立たせた。
急に動いたことで埋め込まれたライターがぐいと博雅の感じる場所を抉った。
「や…あっ…!」
晴明の手に両手ですがるように博雅はつかまった。
「せ、晴明っ…!こんなので歩けるわけないっ!」
頬を上気させ潤んだ瞳で見上げてくる博雅。ぎゅっと晴明を掴むその手に力がこもった。後ろに入っているものを落とさないように股間のあらぬところの力を入れている証だった。
「大丈夫さ。エレベーターまでほんの少しの距離だ。」
博雅の背を押して晴明がエレベーターへと歩きだす。
博雅は晴明の腕に捕まらなくてはとてもではないが歩けなかった。おまけに立ち上がった状態のままのあれがズボンの目に擦れこれもまた目もくらむような刺激を与え続けている。
「せ…晴明…こんな…のいやだ…あ…っ…」
博雅が必死で懇願するが、晴明は意地悪な笑みを浮かべて博雅の脇に手を入れるとその体を持ち上げるようにして無理やり歩き続けさせた。
「あと少し。我慢しろよ博雅。」
「せい…」
「それより中のもの落とすなよ。ズボンのすそから落としてもしらないぞ。」
「く…っ…。おまえが…やったんじゃないかっ…」
がくがくと震える体を晴明に預けるようにして必死で歩きながら、博雅は晴明を睨みつけた。
足を運ぶたびに違う角度で中を擦る晴明のライターと張り詰めた自分自身。頭の芯が焼け切れそうなコイルのようにきな臭く焦げて燻っていた。
ようやく博雅にとっては永遠とも思える距離を歩いて二人はエレベーターホールへとたどりついた。
晴明にその緊張してこわばった体を預ける博雅、乗ったエレベーターがいつもの重役専用の直行エレベーターではないことにも気づかなかった。
ポンッ…
軽い音を立てて空のエレベータが降りてきた。もう歩かなくてすむと博雅はエレベータの壁に体をよしかからせた。
「ふ…っ…」
額に汗を滲ませて小さく息を吐く博雅、その体から力が抜けることはない。
「晴明…おまえってやつは…」
額に汗を浮かせて博雅が言ったときだった。
ポン…
上まで上がりきらぬうちにエレベーターが止まった。
扉が開くとそこには一般の社員の姿が数人。
先にエレベータの中に乗っていた晴明たちを見て一様に驚きに目を丸くした。
「しゃ…社長…?」
その中の一人が驚いて晴明に声をかけた。普段ならろくに姿も見せない社長が普通に社員用のエレベータに乗っていたのだ、驚くに決まっている。
「ど、どうされたのですか?」
いまさらUターンするわけにもいかないとあきらめたのか、そこにいた者たちが一緒に乗ってきた。
「ああ、ちょっと友人の具合が悪くなってしまったのでね。あわてて乗ったら間違えてしまった」
紅い唇をやわらかくカーブさせて晴明は答えた。
その男ですらうっとりと見ほれさせるような笑顔に一緒に乗った女子社員の目が釘づけになる。めったに姿さえみせないカリスマのその姿に居合わせた女子社員は一様にぼうっとなった。それらに晴明はことさらに優しげな微笑を振りまいた。
「君らはどこの課かな?」
「…あ…はいっ!…け、経理です。」
「ああ、じゃあ決算も近いから大変だね、無理せずにがんばってください」
これ以上ないほどの笑みを振りまく。
「…は…は…い…」
完全にのぼせた顔で返事をするその社員。エレベータが動いている間中に晴明は乗り合わせたものたち全員をまたたくまに虜にしていった。恐るべきカリスマ性。
その間、博雅はずっと下を向いて耐えていた。
さり気なく腰に回された晴明の手が皆にその魅力を振りまいている最中もまったく別のいきもののように違うことをしていた。
博雅の双丘の狭間をじわじわと揉み解していた。
もれそうになる声を必死で殺す博雅、普段にこやかに人と接する彼とは思えぬほどにっ険しい顔で押し黙って見えた。
その様子に普段ちょくちょく博雅と話すことのあったものが声をかけた。
「あの…雅さん?大丈夫ですか?」
「…だ、大丈夫…」
目をそらして博雅は小さな声で答えた。
さらにその顔を覗き込もうとしたそいつに晴明が穏やかに言った。
「すまないね、彼はちょっと具合が悪くてね。」
「そうなんですか…本当に大丈夫ですか?僕でよければ肩をお貸ししますよ」
そういって手を伸ばした。
「さ、触らないでくださいっ…!」
博雅がぐっとまぶたをつぶってきつい声で言った。
博雅の普段からは考えられない激しい拒絶にあって驚いて固まってしまった。
あのいつも人懐っこくて笑顔の優しい博雅からは想像すらできない。
「あ、あの…」
あげた手が行き場を失っておどおどとする。
しんと周りが静まった。
「ああ、すまないねみんな。こいつ具合が悪いとちょっと機嫌が悪くなるんだよ。気にしないでくれ。」
ことさらににこやかに晴明は言った。
そのとき、エレベーターが軽やかな音を立ててとまった。
ポンッ…
「そ、それでは失礼いたします…」
博雅の態度に驚いたものも晴明にうっとりと見ほれたものも皆その階で降りていった。多分ほかの階に用もあったものもいたのだろうが、これ以上晴明にの近くにいる勇気のあるものもなかったのだ。
皆の降りたあと、もう誰にもとめられことなくエレベーターは最上階へとあがっていった。
「晴明…わざと…こっちに乗ったな…」
晴明の腕をまるで命綱のように握り締めて博雅は聞いた。
「…単に間違えただけだ」
「うそだ…おまえ…っ…」
焼け付くような官能に必死で抵抗しながら博雅は言った。その硬く張り詰めた前のふくらみにさわりと手をかぶせて晴明は博雅の唇を奪った。
「だったら何だというのだ?」
小鳥のように小さく博雅の唇をついばむ。
「お前…やなやつだ…」
下のものを晴明の手が官能を煽るようにゆっくりと擦っている。
「ふん…なにをいまさら」
博雅の唇を強引に空けさせて晴明は、にやっと笑った。
ぬれた舌が博雅の口内に忍び込み博雅の舌に絡みつく。
「まるで…俺がいやなやつのように言ったな…」
溺れるように激しい口付けの合間に博雅は言った。
「おまけ…に女たちにこれ見よがしに…色目を使った…」
嫉妬が声の端に滲んだ。
「ああ、かわいいコたちだったな。あれでは、お前が愛想を振りまくのもわかろうかというものだ。」
「晴明…っ…」
じわりと涙を浮かせて博雅はその名を呼んだ。
「…な?嫌なものだろう?」
冷たい目で晴明は博雅を見下ろした。
「俺は…」
「俺意外に言葉も笑顔も振りまくな。とりあえずここではな。」
「そんな…」
「ここは俺の縄張りだ、俺の言うとおりにしてもらおう…たとえお前でもな…いや、お前だからなおさらだ、博雅…」
博雅のあごを取るとぐいとその顔を上げてその目をのぞきこんだ。
「しゃ、社長!お帰りになられたのでは?」
帰り支度をしていた秘書がびっくりしたようにふたりを迎えた。
「こいつが具合をわるくしたので少しここで休ませる。私もこれの具合がよくなったら一緒にここを出るから吉本君、きみももう今日はいいよ。帰りたまえ」
歩きながら立ち止まりもせずに晴明はそういうと、よろめく博雅を抱きかかえるようにして社長室に隣接する応接へと入っていった。
秘書があわてておいかけてくる。
「あ、あの、お医者さまでもお呼びいたしましょうか?」
ぐったりとした博雅の様子を見てあわてて言った。
「いや、少し横になっていれば大丈夫だ。ほら、さっさと帰りなさい」
やさしく、だが、きっぱりと命令されて秘書の吉本嬢は頭を下げて出て行った。
「は、はい…では、失礼させていただきます」
パタンとドアが閉まって部屋は二人だけになった。
博雅は壁に身を預けてようやくのことで立っていた。頬を朱に染まらせて荒く息を吐いていた。
「博雅…」
晴明がその名を呼んだ。
「…せい…め…」
博雅のシャツの前を開けて晴明の手がするりと博雅の胸を這った。
「…あ…っ」
小さく立ち上がった胸の突起を晴明の固く細い指先がきゅっとねじりあげた。
「いや…っ…やめ…っ」
抗らおうとする博雅の両手を頭の上に片手で易々と押さえつける。そして晴明の舌が博雅のその突起を捕らえ、ぞろりと舐めあげた。
「ああっ…!」
胸を反らせて博雅が悲鳴にも似た声を上げた。
ゴトリ…。
金属質の重い音を立てて博雅の足元に濡れて光った銀色のライターが落ちた。
「よく我慢したな」
クスリと笑って晴明が言った。
恥ずかしさに目を逸らして博雅がそっぽを向く。
「おまえなんか…サイテーだっ…!」
「それで結構。どうせ俺は嫉妬深くて陰険な最低野郎さ。」
博雅のズボンのベルトをザッと抜き取った。ファスナーを開けて下着もろとも引き摺り下ろす。晴明に髪に戒められたものが勢いよく跳ね出す。
「うっ…!」
自らの下腹を自分の物が打つ感覚に思わず声が漏れた。
ついと博雅のものを戒めている髪を晴明が引っ張った。くんっ!と博雅のものがその先を持ち上げられた。
「あは…っ…!」
博雅のものから髪が解けてその先端からびゅっと透明な液体が飛び散る。手のひらにそれを受け取った晴明が博雅の耳に舌を滑らせる。
熱い吐息とぬめる舌の感触に博雅は背筋をぞくぞくと快感のさざなみが駆け上るのを感じた。腰の辺りにじわじわと熱が集まり始める。
「あっ…あっ…」
晴明がそれ以上何も触れてもいないのに博雅は一人頂点に向かって駆け上り始めた。
「先にイッしまってはだめだ博雅」
晴明の手が博雅のものの根元をぎゅっと締め上げた。
「…あ…うっ…!」
ほとばしり出ようとしたものをせき止められて博雅は悲痛な声を上げる。
「今イカせてやる、待て…」
晴明は言うと壁に体を預けて震える博雅の前にひざを折った。ちょうど目の前に猛る博雅のものが来る位置だ。博雅の片足を抱え上げて片側だ毛を大きく開かせると晴明は猛る博雅のものをその紅い唇に迎え入れた。
「あああっ!」
博雅が悲鳴を上げる。
晴明の濡れて妖しくうごめく舌が博雅ものを絡めとった。ずっ、と引いたかと思うとぐぐっとその根元まで飲み込む。砕けそうになる腰を無理やりに支えられて博雅は果てるまで晴明の唇に翻弄され続けた。
博雅の放ったものを最後まで飲み干し、その残滓までもすっかりとなめとって晴明は博雅を抱えて立ち上がった。
「は…っ…は…っ…」
息も絶え絶えに晴明の腕の中で博雅は目じりを赤く染めて息を荒げていた。
「もう…いや…だ…やめ…」
ふるふると首を振る、これ以上の快感を与えられたら死んでしまう、それほどに脳を焼くほどの快感に震えていた。
「まだまだ、これからさ博雅」
濡れた唇を隠微にゆがめて晴明が微笑んだ。くず折れそうになる博雅の腰をぐいと抱えなおすとその片足を持ち上げ隠れた秘密の門にすっと指先を滑らせた。
長い時間ずっと異物を入れられていたそこはすでに緩やかに解けきってぬるぬるとぬめり晴明のやってくるのを待っていた。
「ほらこんなになって…」
晴明が意地悪くいってそこに指先をもぐりこませる。第二間接までしっかりと中指を食い込ませると中で指先をくいと曲げる。博雅のものの真後ろを刺激して博雅の背がぴんと張って引きつった。
「あうっ…!」
くいくいと指先を躍らせて晴明が笑う。
「博雅はここがいいんだよな。誰にもいえないがな」
「や…っ…!」
果てたはずの博雅のものが涙のような雫を再び漏らし始めて揺れた。
「俺だけのものだ博雅…ほかの誰のものでもない」
いつのまにかはだけられた晴明のズボンから突き出したものがぐぐっ、と博雅の中へと押し入っていった。
「ああああっ!!」
串刺されるごとくに貫かれて博雅の口から悲鳴が上がる。
「ああ…博雅…」
晴明の背に手を回してしがみつく博雅の耳に熱い吐息とともにその名を吹き込む。
「せ…め…っ…!」
激しく突き上げてくる晴明に博雅の晴明を呼ぶ声も切れ切れになってゆく。それでも晴明の名を呼び続ける。
「せ…っ…め…!」
晴明との熱いしぶきを振りまきながら博雅の玉茎(ぎょっけい)が揺れる。博雅の双丘をぐいと押し開きながら晴明はさらに博雅の奥へと己のものを打ち付ける。
自分以外の誰のことも考えるなと。
俺だけをその心に刻めと。
「ひ…っあ…ぁ…」
壁に手をついてようやく体を支える博雅。時々ひざから力が抜けて立ってなどいられなくなるのだが、背後から腰を掴んでいる晴明が博雅がくず折れることを許さない。晴明の挿送のリズムに透明の雫を振りまきながら博雅のものがリズミカルにゆれていた。博雅はぼうっとした頭で晴明に言われるままにその体を開いていった。
も少し続く予定です。