秘めごと・2

  

「晴…明…」
 
長いまつげを切なげに震わせて、薄く開いた唇から愛しい男の名を呼んでいるのは源元雅…本当の名を源博雅。
白いかんばせにわずかに笑みを浮かべてその博雅を見下ろしているのは稀名明…真の名を安倍晴明という。
二人がいるのは稀名が経営する会社MARENA・COPORECIONの社長室の中。深夜を回ったマレナビルの中にはもう人の影もない。保守室には何人かの守衛が詰めてはいるのだろうがその監視の目は社長室には及ばない。
 
その日の夕方。
夕日がビルの窓を赤く染め始めた逢魔が時。秘書に案内されて博雅が晴明のもとへとやってきた。
「晴明!…っと…じゃなかった、アキラ」
ドアからひょこりと顔をのぞかせて博雅が声をかけてきた。
「おう、来たな」
晴明が机を回って博雅を迎えた。
博雅の手を引き部屋に引き入れると案内してきた秘書にぽんと書類の束を手渡す。
「吉本君、それは明日中に仕上げて報告してくれればいいから、今日はもういいよ。」
そういうと彼女を追い出しパタンとドアを閉めた。
 
「どうだった?」
博雅を振り向き晴明が聞いた。
あいかわらず冷たいなとあきれたように言った後で
「ああ、楽しかったぞ。こっちにしかないものも色々あるからな。あちこち探して回ったから少し疲れたよ」
ほら収穫だと博雅は手にした何冊かの本をひらひらと見せた。
「なんだずいぶん時間をかけた割にはたいした量じゃないな。」
「量より質だよ」
にやっと笑って博雅は言った。
「ふふ。まあ、楽しそうでよかった。…せっかく一緒に来たのに付き合い悪くてすまなかったな」
「子供じゃあるまいし気にするな。それより…その様子だとまだまだかかりそうだな」
目の前の晴明のデスクの上を見る。広いデスクいっぱいに書類と設計図が広がっていた。積み上げられた書類の上に危なっかしくパソコンが乗っている。
「ああ。めどがつくまでもう少しかな。」
すまなそうな顔をする晴明。
「おまえは月に一日くらいしかマジメに仕事しないからな、たまに来ると山のようにたまってるんだろ?俺はそのソファで今買ってきたこれでも読んで待ってるから気にしないでのんびり片付けてくれ」
部屋の片隅に置かれてあるソファの方へと博雅は歩いていった。
「すまないな。」
歩きかけた博雅の腕を取り、その体を自分の胸にひきよせる。博雅の顔に晴明のくちづけが降りてきた。
「…ん」
一日触れなかった博雅の唇、ほんの少し触れ合うつもりがつい舌が滑り込む。
なんて甘い…。
晴明がもっと深く口づけようとしたのを博雅が押しとどめた。
「はぁっ…だ、だめだって!ちゃんと仕事を終わらせろ。」
頬を軽く上気させながらも博雅はまるで生徒に言い聞かせるように言った。
「博雅…」
「終わったらなにかうまいもんでも食いにいこうぜ」
にっこりと笑顔を向けられて晴明はため息をついてその体を離した。
「わかった…なるべく早く終わらせる…」
 
「はあっ…」
仕事なんて溜めるもんじゃないなと晴明は大きく息をついて思った。すっかり没頭していったい今が何時なのかもよくわからない。夕暮れ色に染まっていた窓の外はもうすっかりと暗闇で、ネオンで明るく輝く地上に照らされてその空には星も見えなかった。
「…はっ!博雅っ!」
あまりに静かでその存在すら忘れてしまっていた。
あわてて頭をめぐらすとほの明るい間接照明が照らす部屋の中、その片隅の柔らかなソファで開いた本で顔を覆って博雅はすっかり寝入っていた。
「寝てしまったか…悪いことをしたな」
顔の上におかれた本をそっと外した。安らかな寝顔が見え晴明の胸がとくんと跳ねた。
「博雅…」
静かに声をかける。
「ん…?」
長いまつげを重そうに持ち上げて博雅は目を開けた。
「博雅…起きたか?」
「ん…ああ…すまん、すっかり寝てしまった…仕事は終わったか?」
にこりと微笑んで博雅が少しかすれた声で答える。
おきぬけのほんのりと色づいた頬が晴明の目をひきつけた。
 
「なにか食いにいこうか…」
唇に笑みをのせたまま博雅がさっきの約束を口にした。
「…いや、今はあまり腹が減ってないんだ、…博雅は食事に行きたいか?」
じっと見つめてくる晴明の目の奥に食欲とは違う別の欲望の色を見つけて博雅も答えた。
「いや…」
博雅の手が晴明のネクタイをくいっと自分の方へとひっぱった。
 
晴明の唇が博雅の唇にかぶさる。
今日はこの瞬間のために我慢して仕事に明け暮れていたのだ。晴明の舌が性急に博雅の唇を割った。
 
「はぁ…」
肩から滑り落ちたシャツが艶に濡れた声を上げる博雅のひじの辺りで絡まっている。窓から差し込む月の明かりに肌蹴られた肩がつややかにその青い光を跳ね返していた。
きしっ…。
博雅の脚が晴明の椅子のアームをきしませた。
社長用の大きな背もたれのついた椅子に腰掛けた晴明のひざの上で博雅が身体を捩じらせた。大きく広げられたその両脚がいすのアームにそれぞれかけられていた。
「ああ…っ」
晴明の首に両手を回し命綱のようにしがみつく博雅。
晴明の手は博雅の脚が動かぬように博雅のひざの裏をまわりその太ももをしっかりと掴んでいる。晴明のものが博雅を楔をうがったようにそこに繋ぎ止めていた。
…ずりゅっ。
「…あ…ん…っ」
晴明のものが中を蠢くたびに博雅の濡れた唇から思わず甘い声がもれる。
博雅は晴明の肩に顔をうずめて声を殺した。
「くっ…んん…」
くっと唇がかみ締められている。
「なぜ、声を殺す?そんなにかみしめると唇が切れてしまうぞ博雅…」
博雅の顔を上げさせてそのかみ締められた唇に舌を這わせた。
「それに…お前の啼く声を俺は聞きたい…」
博雅の引きしまった臀部に手を這わせながら晴明がその耳元で低くささやく。
さらに奥に晴明のものを飲み込ませるために臀部に這っていた晴明の手に力が入り博雅のそこを大きく開いた。
裂けるかと思うほどに開かれたそこにさらに深く、容赦なく晴明のものが突き立てられた。
「はあっ!」
体の奥に晴明の熱い塊を感じて思わず晴明の肩から顔をのけぞらせて博雅は天を仰いだ。晴明はのけぞる博雅のしっとりと汗ばんだ腰をぐいと自分のほうに引き寄せ中で己のものの角度を調節した。一番感じるところに晴明の楔が突き当たり博雅は悲鳴にも似た嬌声を上げた。
「あっ!あああっっ!!」
アームの外に出された博雅の足先があまりの快感にぴくぴくと引きつれ、晴明の背に回された手がその背に爪を立てた。
二人の体の間に合った博雅のものが自身から溢れてとまらない露に濡れてびくびくと揺れていた。
「ゆきたいか博雅…?」
耳朶に舌を這わせ熱くなった耳たぶを痛いくらいに噛みながら晴明が問う。その冷たい指が熱く猛った博雅の雄の証をきゅっと握り締めた。
「…うう…イキ…たい…ああ…もう…だ…め…」
涙を滲ませて博雅が答える。自分でもどうしていいのかわからいほどに体が熱くなっていた。自分でも気づかぬうちにその細い腰が細かく律動していた。
「ではともにゆこう…」
じっと博雅の目を見つめて晴明がその血のように紅い唇をほころばせて微笑んだ。
「と…もに…」
潤んで焦点の合わなくなったその瞳を必死に晴明に合わせて博雅が切れ切れに答えた。
ほのかな明かりだけがスポットライトのように灯るその中で博雅の滑らかな肢体が晴明のひざの上で大きくしなった…。
 
 






 はいはい、あきもせずEROです、すいません♪題名もテキトーで、しかもブログにのせたやつの焼き直し…ほんとにごめんなさいませ!
 おまけにへたれ挿絵つきです、さらに陳謝!
  

  ちょいやばへ〜♪